スタッフコラム
お客様から、会社の経営状態について財務分析をして経営アドバイスを求められることがある。財務分析についての解説書は、入門書から高度な専門書まで山のようにあるので、財務分析の手法解説はそれらの書籍に譲り、今回は会社経営をどのような視点で考えるべきか、自分なりの視座を示したい。
今回のポイントは、会社にとっての「儲け」とは何か? という問いに答えることで、この問いについて、以下、整理した。
会社にとっての「儲け」とは何を意味するのか?ライブドアや船場吉兆のように世間の目を欺き「儲け」を追求した会社もあるが、この「儲け」は企業倫理に反しており、本質的な「儲け」ではないと考える。
すなわち「収益-費用=利益」であり、利益は、収益=お客様に喜んでいただいた価値から、費用=お客様に提供したサービスの経費を差し引いたものとなっている。したがって、「儲け」るためには、お客様に提供したサービスの費用を上回ってお客様に喜んでもらわなければ「儲け」ないことになる。
また、利益の前に「御」を付けると、利益の意味が鮮明になる。「御」を付けると「ご利益(ごりやく)」になる。仏教用語では、自らや家族のために善行を重ねることを功徳(くどく)といい、他人のために善行を重ねることを(ご)利益(りやく)と云うのだそうである。
したがって、利益という言葉自体に既に公(おおやけ)のための尽くすという精神が込められており、自らの儲けを追及したものは、本質的な「儲け」ではなく、真の利益を追求することは商人道に沿ったものと考える。現在のデフレ不況では利益追求が困難な時代であるが、いざなぎ景気の際に松下幸之助は「赤字を出すということは、企業の国家的国民的な罪悪だ」とさえ発言している。
福沢諭吉が、"Economy"を「経世済民(けいせいさいみん)」から引用して「経済」と翻訳したそうだが、これも物事の真実を突いていると思う。経世済民という考えは、中国の東晋時代の古典「抱朴子」に遡るそうで、秩序を正すことによって世を治め(経め)民を救う(済う)ということを福沢諭吉は「経済」という言葉に託したようである。
まとめると、お客様や社会に貢献することが(ご)利益につながり、こうした動きが大きくなると「経済」となるのだと思う。やはり昔から商人道で言うように「お客様は神様」ではないだろうか。会社経営を考える上で、財務分析する前提とて、お客様から(ご)利益を頂戴しているかという視点が最も大切なことと思う。

