LAMTIP PARTNERS Co., Ltd.

Columnコラム

所長コラム

「役員報酬」の注意点!親族に払った給与が経費にならない時があります

2015 年 7 月 25 日

最近相続の質問が多くなってきました。

今年の相続税増税を境に、相続税対策等毎日何らかの広告が新聞紙上を
にぎわせています。

今回のテーマも相続に絡んだ『役員報酬』の問題です。

日本の中小企業は50万社以上ありますが、同族会社はこの中の9割以上を
占めます。

その同族会社で相続が起こった時には、従業員に親族がいると、その親族が
役員とみなされてしまい、給与が経費とならない可能性があるのです。

「経営者にとっては盲点となる問題」だと思いますので、ぜひじっくり読んで
頂いて、対象となる親族がいないか確認してもらえればと思います。

中小企業では自分が経営している会社で親族が働いている事は良くあります。
特に経理や財務は親族に任せたいと思っている経営者がほとんどです。

ここで注意しなければならないのは、「従業員として雇用している親族」に対して
支払った「給与手当」が、「役員報酬」となってしまい、経費とならなくなる場合が
あるということです。

ではどのような条件の時に「親族に対する給与手当が経費にならなくなってしまう」
のでしょうか。

平成19年4月以降、「役員報酬」は、「従業員の給料手当」とは異なり、支払えば
税務上も費用になるというわけではありません。

「役員報酬」は「定期同額給与等の要件」、つまり特に届出等がない限り、その事業
年度中の支給額が同額でなければ費用にはなりません。

 

ここで問題になるのは「みなし役員」の規定です。

自社に従業員として勤務している従業員が、「ある一定の条件に該当してしまうと
役員とみなされ」てしまうのです。

具体的にどのような場合が「一定の条件」かというと、自社に勤めている従業員が以下の
持株割合、経営に従事の2つの条件を満たした場合です。

 

●持株割合

1.Aグループの持株割合が30%、Bグループの持株割合が20%、
Cグループの持株割合が5%と、上位3グループ合わせて50%を超えている場合に
A、B、Cいずれかのグループに属している

2.持株割合10%以上のグループ(A、B)に属している

3.その従業員の持株割合が5%を超えている。

上記3つの条件に全て該当し、A、B、C等の「株主グループ」を構成する人たちは下記の
「親族」関係など特殊な関係のある個人や法人を含みます。

『親族の範囲』

また「親族」を構成する範囲ですが、

1.株主の6親等内の血族、配偶者および3親等内の姻族

2.株主と結婚をしていないが、事実上婚姻にある者

3.株主の使用人

4.株主からお金を受け取って生計を立てている者

加えて、上記のグループに属する従業員が、「経営に従事」している事も条件です。

 

●経営に従事

Aグループの主要な株主である従業員であっても、「経営に従事」していなければ、
「みなし役員」には該当しません。

税務上「経営に従事している」かどうかの判断について明確な規定はなく、事実認定の
問題になっています。

具体的には以下の様に経営に関与している事実があれば、経営に従事していると
言われてしまいます。

●売上価額や仕入価額の決定

●主要な取引先の選定

●重要な契約に関する決定

●資金調達や返済

●使用人の採用及び退職の決定

●取締役会への参加など

法人の重要な職務に従事していたり、経営に参画している場合をいい、単に事務
処理に従事しているというだけで「経営に従事している」と判断はされません。

かなり厳しい条件だと思う方もおられるかもしれませんが、同族会社の経営者の
親族であれば、普通にクリアしてしまう条件です。

そのため自身の経営している会社で働いている親族に株式を譲渡する場合は、
特に譲渡する株式数を慎重に判断する必要があります。

現段階では株式を持たせていなくても、経営に従事させている場合、相続などで
株式を5%を超えてしまう場合が良くあります。

そうなると、社内に親族が多くいる場合、持株割合の高いグループに入っていると
その時点で「みなし役員」になってしまう可能性があるのです。

株式を取得した段階で「従業員に対する給与手当」ではなく、「役員報酬」になって
しまい、「定期同額給与」の条件を満たしていない場合は経費になりません。

会社に勤務している親族に株式を譲渡する場合、または相続が発生した場合は特に
お気を付けください。